DLT(Dowel Laminated Timber)は、木材を木ダボで接合した木質パネル。接着剤は使わずに、木材に深孔を開けて木ダボを通すという簡易な方法で製造できる。木の表面を現しにした意匠材兼構造材として活用が可能だ。他の木質パネルと異なり、建築用途では使いにくい、丸みなどを含むB材、C材もパネルとして有効活用することができる。
スイスで考案され、長谷川萬治商店(以下、長谷萬)が国内導入し製造している。DLTが考案された欧州では、ドイツ南部やスイスの山間部に中小規模の製材工場が点在し地域の木材を活用している。素材生産から加工、利用までの流れが地域の中で成立しており、小さな地域社会の中で限られた木材資源などを有効活用することに貢献している。
坂茂建築設計などと共同で取り組んだ建築プロジェクト「DLT恒久仮設木造住宅」がウッドデザイン賞2024の国土交通大臣賞を受賞
DLTによる床構造の概略図
記者の目
DLT は、製造方法がシンプルでローテクなため、大型の設備がなくても、中小の製材所なども地域材を活用して、小規模分散型で製造することができる。その特徴が注目を集め採用が拡大している。「ウッドデザイン賞2024」の最優秀賞の一つである国土交通大臣賞に選出された「DLT 恒久仮設木造住宅」はその最たる例だ。応急仮設住宅が目的のため、短期間で木材を調達する必要があったが、断面のサイズが30mm×105mmという、一般的に流通する製材を用いることで、全国の木材事業者と連携し、石川県産材のほか、秋田材、八溝材(栃木、福島、茨城地域)、紀州材(和歌山)など各地の地域材のスピーディな調達が実現した。災害の多い日本において今後も、汎用性の高い構法を開発し、仮設住宅の新しいモデルとして注目を集めている。DLT 自体も、アイデア次第で、まだまだ建築の可能性をさらに高める面
白い使い方が出てきそうだ。
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