ダイドーハント(大阪府吹田市)と栗山百造(新潟県三条市)が製造、販売する「フロッキン狭小壁」は、柱頭金物、柱脚金物、アンカーボルト、面材、専用のドリフトピン、ビスなどキット化された部材で構成する在来軸組工法対応の狭小耐力壁だ。
柱の頭と足元に専用の粘り強い金物を使いビスの配置を工夫することで、幅の狭い壁で靭性の高い耐力壁を実現できる。
一般的なプレカット工場で加工された柱に、ビス穴加工された面材をセットし、ビス止めするだけの簡単施工を実現。一般的な合板と同じ感覚で施工することができる。
また、「中柱型」、「隅柱型」、「隅柱型直交梁勝ち又は通し柱」など、様々なパターンの納まりで試験を行い、強度データを確保しているため、確認申請もスムーズに行える。
1階用セットの金物
実際に「フロッキン狭小壁」が採用されたリハビリ施設では、求められる壁倍率を実現しつつ広い開口を確保したことで、排煙設備の設置も可能にした
記者の目
特に都市部において土地の取得が難しくなってきており、限られた狭小地を生かして住宅の設計プランの自由度を高めたいというニーズは高まっている。一方で、地震被害が相次ぐ中で、より高いレベルで住宅の耐震性能を確保することは大前提として求められる。しかし、通常のプランニングでは、間取りやデザインなどが優先されるため、2つのニーズを同時に満たすハードルは高い。この課題を解決するのが狭い幅の壁で高耐力を確保できる狭小耐力壁だ。「フロッキン狭小壁」は部材がキット化されており簡単な施工で取り付けが可能。設計技術マニュアルも用意しており、一般的な構造計算(許容応力度計算)により計算可能だ。こうした導入しやすい点が支持を集める理由となっている。時代の追い風を受けてさらに採用実績を伸ばしていきそうだ。
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