木材に薬剤を加圧注入し、腐朽菌やシロアリから木材を守る加圧注入処理としては水溶性薬剤を用いる「湿式処理」が普及している。だが、加圧注入により木材中に水分を残すので、加圧注入後に乾かす必要が生じ、木材が膨らむ、割れる、反るといった変形が指摘されている。
この湿式処理に代わる処理方法として、兼松サステックは、独自の「乾式処理」を開発、「乾式防腐・防蟻ニッサンクリーン処理木材」として提供している。乾式処理では、処理装置内に木材を入れて、減圧・加圧処理を行い、有機溶剤に溶かした薬剤を注入する。処理装置内で溶剤を揮発させることで木材の内部に薬剤のみが留まる。水を一切使用しないため、木材が膨らまず、寸法や形状の変化が少ないことが最大の特長だ。処理後の乾燥も不要で、納品から施工までの工程を大幅に短縮できる。
記者の目
建築基準法では、地面から1m以内の土台、柱、筋交いなどに防腐・防蟻処理(保存処理)を施すことを求めている。兼松サステックでは、エンジニアリングウッドにそのまま加圧注入でき、優れた寸法安定性を確保できるという乾式処理の強みを生かし、土台だけでなく柱、梁、耐力面材などの構造材、野地合板など、住宅で使用するあらゆる木材にも乾式処理を施す提案を強化している。最近では、羽を持つアメリカカンザイシロアリが飛んできて住宅の2階部分などから侵入し、蟻害が広がるケースも増えている。もはや土壌や床下に防蟻対策を施しても、アメリカカンザイシロアリの侵入を阻止することは難しいだけに、2階部分も含めて構造材すべてに乾式処理を施し、住宅の長寿命化を図ることは、差別化ポイントになるはずだ。
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